11月25日に「保育園給食調理業務委託提案についての集会」を開催しました

去る11月25日午後7時より、サンパール荒川で、「保育園給食調理業務委託提案についての集会」を開催しました。企画から開催までの期間が短かったにもかかわらず、保護者、職員、一般区民など90人近くの方が集い、今回、区からだされた保育園給食調理業務委託の提案に対して、疑問や不安など、多くの熱っぽい意見が交わされました。集会の様子をお知らせします

●集会プログラム●

  1. 開始の挨拶/「保育園給食を考える荒川区民の会(区民の会)」設立の経緯

  2. 区立保育園給食委託の提案の経過説明―区職員組合への説明・現場(該当保育園)への説明・保護者への説明

  3. 「区民の会」として要望書を区に提出した時の児童福祉課長との懇談概要

  4. 現場の給食調理員さんからの発言

  5. 既に給食業務委託を行なっている他区の状況―台東区の状況、墨田区・北区見学の報告

  6. 質疑・意見交換

  7. 「区民の会」代表者よりメッセージ―署名の協力呼びかけ・会の参加呼びかけ・陳情書提出について


【報告】児童福祉課から、今回の給食業務委託に関してどのような説明があったのか?

荒川区職員労働組合(以下「区職労」)への説明

委託の目的:食育の推進・給食内容の充実のため。非常勤栄養士を配置し、アレルギ対応、除去食を5歳児まで拡大するために委託する。

なぜ0歳児園なのか:調理員6名の職員が減り見合う・建物の構造から委託業者のための休憩室とトイレが別に設置できる

保育現場の職員への説明

委託の目的:10月13日、子どもが午睡中に説明がある。時代の流れでシステムを変え、保育園のコスト削減に、もっていかなければならない。

今までどおりに給食を実施できるの?:工夫しだいである。内容は仕様書に書く
該当保育園保護者への説明会の状況と感想

保護者説明会が行われたが、保護者の質問に対して児童福祉課の明確な回答がされず、時間切れとなり、2回目の説明会開催。2回目の説明でも1回目と同様時間切れとなり、今後、3回目の説明会が開催される予定。2回の説明会とも、2時間30分の時間がかかった。

 児童福祉課長は、給食調理業務委託のメリットだけの説明で、「デメリットはない」とのこと。また、委託を実施する目的が理念だけで、どうして委託が必要なのかという説明がなかった。

 委託になれば人件費は安くなるが、保護者は「安い人件費で、離乳食など細かい内容まで対応できるのか」が疑問である。コスト削減を一番大切な子どもから行うというのは、区の「子育て支援」の方針から考えておかしいし、納得できない。

 三河島保育園では、父母の会の中に、給食問題対策委員会を立ち上げた。今後、要望書を提出する予定 。
該当保育園以外の保育園保護者への説明 「平成18年4月より、2保育園で給食調理業務が委託される」旨のチラシが配布されたのみ。

【フロアからのご意見あれこれ】

調理現場から調理員さんからの発言

 衛生管理面ではとても気をつけている。荒川区の区立保育園では、今まで食中毒を出したことがない。これは当たり前だけれど、当たり前を努力で続けている。

 子ども達は朝から調理室を楽しそうにのぞいている。私たちは、給食を作るだけではなく、保育の一環として調理を考えている。遠足、防災訓練なども一緒にしている。他の職員と協力して、布団しき、給食を作る以外の仕事もしている。

 委託は、民間だから悪いと言っているのではない。コスト削減のシステムとして委託があり、そのしわよせが、子ども達にかかることがいけないのだと思う。

「学校給食SOS」のIさん

荒川区内ではすでに小学校、中学校が給食委託になっている。業者が変更になった際に、調理業務の支障を防ぐため、調理員にそのまま残ってもらうという対応をとった学校もある。「委託ってなんだろう」と考えさせられる。

給食の質という点だけでなく、委託して本当にコストが下がるのかという観点からも検証し、学校給食とも一緒に運動を展開する必要がある。

 

 

他区で既に給食調理業務が委託されている保育園に勤めている職員さんからの発言

数年前に給食委託になった。委託になると現場の声は聞いてくれない。

委託業者は低賃金で重労働なので、パート、バイトが多く、チーフであっても入れ替わりが激しい。重労働なので給食を作る時、調理員さんはけんか腰になっており、さながら戦場のようで、見ていてもひやひや。

委託になって給食が変わったことは・・・・

  1. 給食が決まった時間に出てこない
  2. アレルギー食や、メニューの間違いが多い
  3. 早く盛り付け終わっている。夏などは食中毒が心配になる。仕様書には「30分前の盛り付け」とあるが、随分前に盛り付けられている。食中毒にはならなかったが、一度腹痛などの症状で休む子どもが多いことがあり、職員が一軒一軒訪問し、検便した。
  4. ジャガイモの芽もついたまま出されるなど、調理が子どもの食に合っていない。
  5. 非常勤の栄養士は配属されたが、委託前と変わったことはない。
  6. 異物混入が多くなった。輪ゴム、金たわしの破片、クギなど。
  7. 一度、委託の調理員さんが全員来ないことがあり、職員が手配し作り1時間遅れで提供したことがある。

区議会議員(Sさん)

 児童福祉課は、内部検討の結果説明もなく、議会に突然、委託を提案してきた。「子どもにとってどうか」ではなく、委託しやすいところからやることは、おかしい。

 

区議会議員(Sさん)

民間委託には反対している。今回の提案は、人員削減である。いま、区内のいろいろな事業で委託が進みすぎて、逆に危機感を感じている向きもある。保護者の不安を伝えていくことが大切。

荒川区父母の会連絡会会長からの発言

介護保険の施設で経費節減のため、給食をアウトソーシングした。最初は品数も多くおいしかったが、そのうち品数が減り、味も落ちた。若い栄養士とパートの調理員がいるが、けんかが多く、栄養士はやめた。

委託業者が収入を確保するには食材の質を落とすか、人件費を減らすしかない。

介護保健施設は法律でチェックがかかるが、今回の提案ではチェックはどうなるのか。年度の半ばにこのような提案の仕方は性急過ぎ、おかしい。じっくり検討して進めるほうが良いと思う。

 

 

区議会議員(Sさん)

委託したことで、給食の質が落ちてしまうことは、よくない。学校給食が民間委託によってどうなったかの評価を区はきちんと出していくべき。

荒川区職労 委員長

民間が悪いとは思わない。しかし、利潤追求だけに向かった民間は怖いものがある。利潤追求の先が、子ども達に向かうことが問題だ。

 


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